プロジェクト紹介シリーズ

 
本シリーズでは、TOMODACHI-Microsoft iLEAP Social Innovation and Leadership 2017夏プログラム(※1)参加者のプログラムを通じて得た学びとチェンジプロジェクト(※2)についてお伝えします。
第二弾は、自身の二度の転校経験で学んだことから、転校をネガティブなものではなく、自分の世界を広げるきっかけにできるようにしたいと転校生をサポートするプロジェクト「サポてん!」を起ち上げた、森山氣帆さんです。

※1-18~25歳までの方を対象とし、日本、アメリカ、そして世界にポジティブな変化をもたらすことができる、日本の次世代社会起業家やコミュニティーリーダーを育てるためにデザインされたプログラムです。全国各地から選び抜かれた参加者たちが、米国ワシントン州シアトルと日本の両方で、体験型リーダーシップトレーニングを受け、日本社会に実際にイノベーションを起こしていきます。 2017年夏から開始した計約6か月間のプログラムで、3つのフェーズに分かれています。フェーズ1(2017年7月~8月)は日本での準備期間、フェーズ2(2017年8月)はシアトルでの3週間研修、フェーズ3(2017年9月~1月)は約5か月間の日本でのプロジェクト実行期間です。
※2ー日本社会をより良くするために、参加者が自分の夢や想いに従って行う社会改革プロジェクトです。

 

 

転校を自分の世界を広げるきっかけに

森山氣帆(Moriyama Kiho)

佐賀大学文化教育学部3年生(2018年2月現在)


 

プロジェクト紹介サポてん!(転校生サポートプロジェクト) は、転校をする子供たちが、転校という変化を自分の世界を広げるきっかけとして受け入れられるようにするためのプロジェクトです。そのために、転校の実態を調査・分析し、課題解決の為の方法を考え、発信しすること、そして転校する子どもには勇気を、周りの人には転校について考えるきっかけを届ける物語を作り絵本を作成します。現在、佐賀大学の「チームビルディングとリーダーシップ」という授業の、24名のクラスメイトと共にプロジェクトを進行中です。

「サポてん!」という名前は、「『転校』する子ども達を『サポート』する『天使』になる!」という意味です。また、響きが棘のあるサボテンと似ているのには、「最初は砂漠のように生きづらそうに見える新たな地において、痛いトゲを持ちながらも、たくましく自分らしい花を咲かせることのできるサボテンのようになってほしい」というメッセージが込められています。

 

リーダーシップは人それぞれ

 シアトルでの3週間では、リーダーシップの形は一つではなく、多様性がある人それぞれだと気付きました。それを最初に感じたのは、プログラムの序盤で、並べられた写真の中から自分が思うリーダーシップについて表現されている写真を選んで説明する、というアクティビティをした時です。中には、「それがどういう風にリーダーシップに繋がるのだろう?」と思うような写真を選ぶ人もいて、自分の常識からは考えらえない視点を得ることができました。

 私は中学・高校の時、テニス部のキャプテンをしたのですが、その時は、リーダーは先頭に立って、いつも明るく、皆をぐいぐい引っ張っていくのが理想だと思っていました。でもなかなかそうできなくて、自分は弱いなと落ち込むことが多かったです。ところが、このセッションで他の人のリーダーシップに対する考えを聞いてみて、ぐいぐい引っ張るリーダーシップもあれば、後ろから人を支えるリーダーシップもあるのだと気づけて、気持ちが楽になりました。

 また、帰国後に行われた卒業生対象のイベントYouthSpark Liveの際に、(iLEAP代表の)ブリットが、彼自身が受けたリーダーシップに関して一番悪いアドバイスとして『リーダーは強く在れ』というアドバイスを挙げていました。私にとってはこれもリーダーは強くなくてはならない、という以前の考えを変えるきっかけになりました。


リーダーシップセッションにて。
それぞれが思うリーダーシップに合う写真を選んでいる様子。

 

一人で解決する必要はない

 他の参加者とチェンジプロジェクトについて話し合うことで、自分は普段気にも止めなかったけれどが、他の人にとってはとても大きな問題であることが社会にはたくさんあるのだと気づきました。例えば障がいのある人の雇用問題や、長期入院している病気の子供達の復帰支援だったり。私の身近にそういう人がいなかったため、いままでその人たちの困難を考えることがありませんでした。

 いろいろな環境で生きている人がいること、様々な社会問題があること、それを気に掛ける人がいることを知ることは、私の考え方にも影響があったと思います。お互いのプロジェクトについて共有しあうことで、その人が持つビジョンを知ることができました。さらに私自身は(その社会問題を)それまで問題として捉えていなかったとしても、自分にできることがあればサポートしたいと思うようになりました。そのことから、社会問題は自分一人で解決する必要はなくて、共有することで他の人から協力が得られることが社会問題の解決につながると気づいたのです。

自分が届けたい価値は何か?という問い

 フェーズ2のiLEAPでのセッションで行った、一人3分間で将来のビジョンをスピーチするというアクティビティはプロジェクトを始めた後、とても役立ちました。マイクロソフトのアドバイザーの方からは、準備したテンプレートをもとに発表するのではなく、目の前のオーディエンス聞き手が何を求めているのか、臨機応変に相手の反応を見ながら発表するスキルを学びました。他にもアドバイザーからビジネスモデルキャンバス(注1)というワークシートを紹介してもらい、その質問の一つである(プロジェクトを通して)自分が届けたい価値は何か?という問いについて掘り下げをしました。その問いかけを通して、ビジョンを他人に分かりやすく的確に短く伝えることの重要性を学びました。

(注1)ビジネスモデルを各要素ごとに分け、可視化するテンプレートの一つで戦略的マネージメントや起業計画などに使用される。
 

森山さんの担当マイクロソフトアドバイザー、ジョニール(左上)と。

 

ビジョンを共有することで集まってきた仲間たち

 このビジョン共有のスキルはフェーズ3ですごく活かされました。帰国後、プロジェクトに協力してくれるメンバーが集まってくれるのか不安でしたが、なぜやりたいのか、誰に対して何をしたいのか、その人たちにどうなってほしいのかを最優先に考えて伝えました。いま大学で取って受講している「チームビルディングとリーダーシップ」の授業で、自分のプロジェクトのチームメンバーを募る機会があったのですが、最初は転校経験者がいればいいな、と思っていました。何故なら、当初は転校を経験していないとその人が、プロジェクトに参加するためのモチベーションがなかったり、何をサポートしたらいいのかわからなかったりするのではないかと思っていたからです。

 でも実際には転校経験のない人が、私のプレゼンを聞いて「転校生をサポートすることの重要性に気付いた」とか「教員になろうと思っているから、将来の教員として転校生の気持ちを知っておきたい」と言ってくれたのです。ビジョン共有をしてみて(意外な結果に)驚きましたが、結果24人もの学生が私のプロジェクトメンバーとして協力してくれることになりました。本当に嬉しかったです。また、「届けたい相手にとってのプロジェクト価値は何か」と考え続ることの意味や重要性を改めて実感しました。

森山さん(中央下)とサポてん!メンバーの皆さん

チェックインとチェックアウト

 (フェーズ2でやっていた)毎日のチェックイン・チェックアウトは初めての経験でした。いままでは会議が始まってすぐ議題に入っていたのですが、今は活動に入る前に必ずチェックインを通してメンバー一人一人が必ず発言する場を作るようにしています。それによって自己表現・自己発信することの大切さを知りましたし、表現することで、自分自身のコンディションを認識することができました。また他の人のコンディションや背景を知ることで、その人への愛着がもっと湧きました。(チェックインが)なかったら、メンバーがどういう状態でここにきているのかにも関心を持つこともなかったし、知ることもなかったと思います。

 チェックインを行うことで、次の展開にスムーズに入れるようになり、チームのマネジメントがやりやすくなりました。先日、今までの振り返りをしたところ、「チームの雰囲気が良くなった」や、「今までよりも全員の前で発言しやすくなった」というフィードバックがあったので、その効果は出ていると思います。私としても、チェックイン(注1)とチェックアウト(注2)を通してメンバーとの良い関係が築けたことで、一人で抱え込まず、困ったことなどをチームに相談することが上手になったと思っています。


(注1)会議や一日の始まりに、参加者それぞれが自分の気持ちの状態や近況を共有することで、自分と周りの状態を確認し、リーダーシップの気づきを高めるアクティビティ。
(注2)会議や一日の終わりに行い、学びや気づき、感謝の気持ちなどを共有するアクティビティ。


サポてん!チームメンバーとチェックインをしている様子。

プログラムを通じて得た「仲間」と「目」

 このプログラム参加前にはなかったけれど、参加したことで得たのは、仲間と目です。仲間は、一緒に参加した17人の友達、TOMODACHI、マイクロソフト、iLEAPの人たち、クラスのメンバー全てです。またマイクロソフトのアドバイザーの方から学んだOneNote、Skype for Business、Teamsは離れていても複数人で作業ができて、またSkype for Businessを使った、顔を見ながらの通話は安心できて、遠方にいる私にとってはとてもよかったです。私はいままでずっと文系としてきたので、あまりテクノロジーを学ぶ機会がなかったのですが、仲間とは(帰国後も)オンラインミーティングをしたりして繋がり続けることができました。

 目というのは、チャンスを捉える目です。参加前に自分にかかっていたネガティブなもやが、プログラムに参加することで少しずつクリアになって、自分の前にあるチャンスや可能性が見えるようになりました。以前から大学の先生には学生皆に対して、いろんな機会やプログラムがあるから挑戦してみてみては?と言われていたのですが、私の中ではどこか他人事でした。自分には関係のないことと思っていたのです。でも、このプログラム参加した今は、これからもいろんな機会を見つけて獲得していけるという自信がつきました。


プロジェクトの今後


 今はチームと一緒に学校や、保護者の方、転校経験者を対象にアンケートを実施していて、同時に、絵本製作にも取り掛かっています。絵本が完成したら、佐賀市内の小学校で読み聞かせをさせてもらうことも考えています。更に、今回保護者向けのアンケートにご協力してくださった日本全国にいる転勤族の人たちのネットワークにも、引き続きご協力をお願いしてみようとも思っています。

 今のサポてん!メンバーたちにとっては授業の一環なので2月半ばで一旦終わりますが、今後もできる限り続けていきたいので、その後は今のメンバー以外にも呼びかけて、参加したい人を募ることも考えています。(このプロジェクトが)今年4月に転校する子供たちのサポートになることを目指して頑張りたいです。


 

自分にもチャンスがある

 プログラム以前、(出身地の)熊本で地震があったとき、私は大学2年生でした。大学に入る前からずっと留学したいと考えていましたが、震災の影響で経済的に余裕がなくなってしまいました。そのため、その時は長期留学はをあきらめて今所属している部活動やサークル活動、勉強を頑張って就職活動をしようと思っていたのです。

 プログラム以前は私自身が、自分にはあんまりチャンスがないのだと下を向いていました。でも今は私自身が何かを挑戦しないと、何も形をなさないと思うようになりました。プログラムに参加したことで自分とも真剣に向き合い、また出会う人や場所が一気に増えて、小さなことの積み重ねで人生が大きく変わってきていると思います。プロジェクトを通して伝えたいのは、転校生も含めて多くの人たちにも、自分にもチャンスがあるという希望を持つことで、見える世界が変わり実現に近づいくということです。そのためにも、私自身がまずチャンスを生かすロールモデルになるという想いで、プロジェクトも日々の生活も続けていきます。

 
 

2018年2月7日掲載

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