一生大切にしていきたい。プログラムで学んだ「自分自身を大切にし、本当にやりたいことをやる」ということ。

西森千咲(Chisaki Nishimori)

参加プログラム:TOMODACHI-Microsoft iLEAP Social Innovation and Leadership Program, Summer 2016
筑波大学4年生(参加当時)

ソーシャル・イノベーションは偽善じゃない

 ”社会を変える”や”ソーシャル・イノベーション”は、「偽善なのでは」–。日本国内ではこうした疑いの目が向けられているように感じていました。私自身も、TOMODACHI Microsoft Social Innovation and Leadership(以下、本プログラム)に参加する前は、ソーシャル・イノベーションを広めていきたいという思いがありながらも「本当にこれでよいのか」と思っている部分があったことも事実です。しかし、プログラム中にシアトルで活動するソーシャル・ビジネスの現場である「Fare Start(注1)」を見たときに、強い思いを持って活動していることはもちろん、街や市民、企業も巻き込んで活動をしているということがとても印象的でした。しかも彼らの活動は事業として成立しているんです。私にとってはそれが衝撃的でした。思いだけではなく、ちゃんとビジネスとしてソーシャル・イノベーションを確立させている人が世界にはいる。それを身を持って体感できた貴重な経験でした。

注1)「Fare Start」:プログラム期間中に参加者が訪れるソーシャル・ビジネスの現場の一つ。ホームレスや貧困層に対してレストランなどの就業スキルをトレーニングするだけではなく、実際に働く場所としてレストランやカフェを自社運営することで社会復帰へのステップを提供している。http://www.farestart.org/


リーダーシップはそれぞれが持っている個性。シアトルでやっと理論から実践へ。

 リーダーシップというものは「人によってリーダーシップは異なり様々な種類があるということ」、「いわゆるリーダーになる人だけがリーダーシップを発揮するのではなく、チーム一人一人がそれぞれ違うリーダーシップを発揮する必要がある」ということを知識として持ってはいました。しかし、「知っていること」と「出来ること」は別の話です。プログラム参加前は、リーダーシップを上手く発揮できなかったり、また悩むことが多かったように思います。
 しかし、シアトルでグループプロジェクト(注2)に取り組む中で、メンバーをリードするタイプのリーダーシップだけではなく、チーム全体をサポートしていく「フォロワーシップ」型のリーダーのあり方を経験する機会もありました。自分には向かないと思っていたリーダーシップの型も含めてたくさん体験することを通して、理論を実践する機会になったと思います。
 この経験を通して、自分らしいリーダーシップのあり方を知り、またチーム全体で前に進んでいくにはどうあるべきかということを掴めたと感じています。私は2017年の春に大学を卒業し社会人になったのですが、会社という組織は自分だけが成果を出せばいいのではなく、むしろ自分の行動を相手がどうとらえるかということがすごく大切です。例えば、私が良かれと思ってしたことでも相手にそれが伝わらなければ意味がない。そういうときに本プログラムで学んだリーダーシップのあり方を思い出し、相手に合わせたリーダーシップを発揮したり、自分自身を変えていくことが出来れば、チーム全体を前に進めることが出来ると思います。
 シアトルでの経験を通して、視点や役割、行動の切り替えがスムーズにできるということができるようになったと実感していますし、これは学生の時には気づかなかったけれど社会人になると必要になってくるリーダーシップだと感じました。

注2)本プログラムの中で参加者が取り組むactivityの一つ。2016年夏のプログラムでは参加者数人がチームとなり、シアトルのNPOと関わりながら課題解決に取り組むという内容を実施。

オープンに自分の意見を話し、受け入れてもらえる貴重な環境

 日本にいた時は、「今、この発言をして良いのか?」や、「自分がバカだと思われてしまうのではないか?」という思いが強く、自分の意見を積極的に言うことができませんでした。でも、このプログラムでは本当に自由に発言していいんです。しかも、それがありのまま受け入れてもらえる。とても新鮮で貴重な環境でした。
 ただ、正直なところ、プログラム開始当初は、積極的に自分の意見を言いたいとは思えなかったんです。それが変わったのは、プログラムの一つである「ディスカッション」の時間。プログラム期間中には、参加者全員でディスカッションしたり、またリフレクションと呼ばれる自分自身の気づき、学びを振り返る時間が多くあります。その時のルールは、「オープンに自分の意見を話す」、「他人の意見は判断するのではなく受け止める」というもの。
 ある日、コミュニケーションのディスカッションをしている時に挙手をしたらたまたま自分が少数派になってしまいました。「まずい」と思ってしまったですが、この日の進行を担当していたiLEAP代表のBrittさんが「何故、ちさきはそう思うの?」と聞いてくれたんです。不安ながらも自分の意見を言ったら、「確かにそういう考え方もあるよね」と受け止めてくれました。ディスカッションや個々人の意見に正解はなく、また自分の考え方を受け止めてもらえたという体験がとても印象的でした。

悩みを抱える学生のサステイナブルなコミュニティになれたら

 帰国後は、元々自分が設立したSB Lab.という学生団体で学内イベントを行いました。「ソーシャル・ビジネスを就職の選択肢に」という思いのもと、今までソーシャル・ビジネスに馴染みのなかった学生や「ソーシャル・ビジネスに興味があるけれども就職までは…」という思いを持った学生にインパクトを与えられたと感じています。
 本プログラムでは、コミュニティという形でサステイナブルなものになることで初めてインパクトを与えることができるということを学びました。プログラム参加前はイベントをやってインパクトを与えられたらいいなと思っていましたが、帰国後は特にソーシャル・ビジネスに興味のある学生や一歩踏み出したいといった悩みを抱えている学生のコミュニティになれたらいいなという思いが新たに芽生えました。そこで、イベント終了後にはイベントで感じたことをシェアする場を設けたり次に繋がるコミュニケーションを取るなど、プログラムで学んだことを実践の場で生かしていました。

一生大切にしていきたい。プログラムで学んだ「自分自身を大切にし、本当にやりたいことをやる」ということ。

 今後は、今の仕事を続けていく中でつけた力やスキルを活かし、何かしらの形で社会貢献に直接的に携われたらなという思いがあります。また、本プログラムで学び、一生大切にしたいことに「自分自身を大切にする」、「自分の本当にやりたいことを素直に感じ取ってそれをやっていく」ということがあります。自分自身と深く対話する、自分のやりたいことをやるといったことを追っていけば、5年後自分に力がついたなと感じた時にやりたいことにすぐ飛び込めるのではないかと感じています。
 直近だと自分が現在携わっている団体「ファミトーク(注3)」をサステイナブルにしていきたいと考えています。メンバーが3人とも社会人のため、自分たちだけで全てを作り上げ、本当に困っている人にアプローチするのは難しいのではないかという思いがあり、他団体(子どもを対象にしたNPOや行政など)とのコラボレーションの道を探りながらなんとか継続できないかと考えているところです。そして絶賛新メンバーを募集しているので家族や子どもに興味がある方がいたらぜひジョインしていただきたいです。

西森さんが設立した学生団体SB Lab.

注3)ファミトーク:家族に関するモヤモヤを抱えている人たちが自由に自分の気持ちや悩みを話せる場所を作るイベント、団体です。
詳細はこちら:https://www.facebook.com/events/392437001148400/?ti=icl&__mref=mb


2017年6月29日掲載

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***プログラム後の参加者の挑戦をお届けする卒業生インタビューシリーズ。全6回に渡ってご紹介します。***

インタビュー・書き手:津田 光佳、登坂 直弥、本郷 真美
監修:川口枝里子

第1弾、 千葉 恵介 (Keisuke Chiba)さん:【仲間との経験を通して気づいた“自分の生き方”】

第2弾、西森千咲(Chisaki Nishimori)さん:【一生大切にしていきたい。プログラムで学んだ「自分自身を大切にし、本当にやりたいことをやる」ということ。】

第3弾、江田翔太(Shota Eda)さん:【諦められてきた社会の課題を根本から解決したい】

第4弾、菊本寛(Kan Kikumoto)さん:【「みんなが誰にでも、優しい社会」を創りたい。】

第5弾、三塩菜摘(Natsumi Mishio)さん:【“伝えたい人”の原動力を形にする】

第6弾、間瀬海太(Umita Mase)さん:【「発想の仕方を変える」―シアトルで学んだイノベーションの可能性】